『MMCAコミッションプロジェクト』は、現代美術の可能性と未来ビジョンを提示する国際的な作家とのコラボレーションを通じて、美術館のスペースに新しい談論をもたらす作品を展示するために設けられた大規模プロジェクトです。2019年は、テキストを使用して集団の問題や個人の不安感などのイシューを扱う米国の作家ジェニー・ホルツァー(1950~)の新しいコミッション新作を紹介します。今回のMMCAコミッションプロジェクト《あなたのために:ジェニー・ホルツァー》は、国立現代美術館ソウル、ソウルボックスとロビー、果川の屋外空間など美術館の共用スペースを芸術家の舞台として使用し、作家の作品世界と新しいスペースの解釈を示すコミッションプロジェクトを披露します。
ホルツァーは、1970年代後半からニューヨークの通りに匿名のポスターを貼り始めました。このシリーズは、<自明の理(Truism)>として多様な主題をもとに矛盾する視点と論争を呼び起こす簡単ながらも率直な文章がアルファベット順に配列された作品です。作家は、約40年間にわたって歴史及び政治的不当性と社会的問題を扱い、警戒心を呼び起こすテキストをＴシャツや帽子、名札、石の彫刻、電光掲示板、建築物、自然など多様な媒体に適用して、大衆にメッセージを伝達しました。ホルツァーのテキストは、すべての作品において開かれた解釈と論争で大衆の参加を誘導し、対話を触発します。また、彼の作品は、権力の乱用、戦争、ジェンダー不平等など現代社会の問題を世論化し、疎外、排除された人々の声を示して公論の拡張に寄与しています。
《あなたのために:ジェニー・ホルツァー》は、ポスター、LEDサイン、石の彫刻など、作家がテキストで観客と意思疎通するために使用していた代表的な媒体を美術館の内外部スペースで一緒に展示します。<扇動的なエッセイと自明の理>は、言語を媒体として探求する初期ポスター作品で、このうち「自明の理(Truism)」は、本プロジェクトを通じて初めてハングルで具現化され、観者と積極的に意思を疏通しようとする作家の意図が込められています。ポスターと共に果川には美術館の自然風景と調和した石の橋の上に作家が選定した11の「自明の理」を彫刻した永久インスタレーション作品を展示し、観者が偶然向き合ったテキストを通じて日常を喚起し、思惟できる機会を提供します。また、ソウル館ソウルボックスに設置された記念碑的なLED新作<あなたのために>は、キム・ヘスン、漢江(ハン・ガン)、エミリー・ジョンミン・ユン(Emily Jungmin Yoon)、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ(Svetlana Alexievich)、ホジン・アジズ(Hawzhin Azeez)、5人の現代文学作家の文章を通じて「女性」の声を前面に出しました。一緒に展示される人々の作品は、女性が日常的な生活で、あるいは悲劇的な葛藤の時期に経験する暴力、犠牲そして親切に関する物語を反映しています。
