Language

美術作品別保存管理

彫刻の材料

彫刻の材料としては大きく分けて金属類(青銅、真鍮、鋼鉄、耐候性鋼、ステンレス、アルミニウムなど)、石材類(大理石、花崗岩など)、合成樹脂類(ポリ塩化ビニル、繊維強化プラスチック、ポリカーボネートなど)が使用されてきた。最近では様々な材料を組み合わせて使用するケースもある。

彫刻の劣化および損傷の種類

損傷の原因には環境汚染物、熱、気温変化、湿気、紫外線、生物学的攻撃、風食、自然災害、人為的な落書き、不適切な保存処理などがある。特に、工業化による酸性雨や大気汚染は作品の材質や表面層の損傷を早めている。最も深刻な損傷は主に運搬中の破損やバンダリズムによる人為的な毀損で、彫刻作品自体の材料や構造の不安定性に起因する損傷の進行も多数発見されている。屋外の青銅彫刻からは青や黒の縞がよく発見されるが、主に石油燃料の燃焼による公害と大気中の硫酸化合物、自動車の大気汚染がその原因とされている。

木造の場合は周辺温湿度の変化に敏感に反応して収縮、変形、ひび割れなどの現象が起こり、損傷する。高温多湿な環境ではカビ、ヒラタキクイムシなどの生物による被害を受ける場合があり、 移動中にできた擦り傷もよく発見される。石造は長期間にわたり積もったホコリが表面に染み込んで簡単に取り除けなくなるケースが多く、特に屋外に設置された場合、染み込んだ水気による凍結破損、地衣類などの繁殖、酸性雨による損傷にさらされており、大理石作品は環境に一層敏感なため、できれば屋外に置かないほうがいい。

保存修復処理および管理

彫刻作品はしばしば点検して定期的に手入れし、作品の寿命と美観を長持ちさせる努力が必要である。

金萬述 <Kim Man Sul>「歴史(History)」
  • Before Restoration 保存処理の前/後
  • After Restoration

一般的に青銅彫刻の保存処理はさびを取り除いたり、場合によってはブラストクリーニング(Blast-Cleaning)を行い、新しく人為的なパティナ(古色)をつけることもある。パティナの上に施す表面コーティングは雨、露、黄砂、塩気、人為的な破損行為から作品を保護し、青銅彫刻固有の美しい艶が出て作品の完成度を高めてくれる。

尹孝重 <Yun Hyo Jung>「母娘像(Mother and Daughter Sculpture)」
  • Mother and Daughter Sculpture by Yun Hyo Jung 保存処理の前/後
  • Mother and Daughter Sculpture by Yun Hyo Jung

木造は温湿度が一定に保たれて直射日光が当たらない場所に展示しなければならず、場合によって保護コーティングを施すこともある。徳寿宮内にあるキム・ギスン(Kim Ki-Seoung)作「世宗大王銅像(bronze sculpture Great King Sejong)」は砂型鋳造法によって青銅鋳物を作り、溶接接合されたもので、表面には濃い緑系の顔料が塗布された。制作後40年で表面の顔料層が劣化して有機成分はほとんど消滅し、残っていた無機顔料成分が下地の金属から自然発生した腐食層と結合する過程で都心の排気ガス、ホコリ、周囲の木などに起因する有機物と合わさって汚れとなり固着した。

  • 1. クリーニング Cleaning
    • ドライアイスブラスターを用いて表面の汚れおよび顔料の一部を除去
    • 歯科用小道具、鉄ブラシ、非イオン系洗剤と水を用いて細部までクリーニング
  • 2. パティネーション Patination
    • 青銅の表面をトーチで加熱後、硝酸鉄溶液を加えてこげ茶色の腐食層を形成
    • 表面加熱後、硝酸銅溶液を加えて緑や明るい青の腐食層を形成
    • 硝酸鉄・硝酸銅溶液を混ぜて全体的に噴射
  • 3. ワックスコーティング Wax Coating
    • ドライアイスブラスターを用いて表面の汚れおよび顔料の一部を除去
    • 歯科用小道具、鉄ブラシ、非イオン系洗剤と水を用いて細部までクリーニング
  • 4. 処理前/後 Before and After Restoration
    • コケなどの汚れを高速噴射クリーナーで除去
    • 台座に使用されているコンクリートの白華や銅像の腐食物が雨水などと一緒に流れ落ちた錆跡を除去