≪寄贈作品特別展≫は、国立現代美術館が2010年以降に寄贈を受けた作品のうち、未公開作品と展示の機会があまりなかった作品を中心に紹介することで、寄贈の意味と価値を振り返る展示です。
所蔵品は、美術館のアイデンティティを示す重要な尺度です。国立現代美術館の所蔵品は、購入、受贈、管理換えによって収集されています。購入の場合、美術館の収集方針と方向性に沿って調査、研究し、これに基づいて計画的に収集が行われる一方、受贈は寄贈者の意思によって作品が提案されるため、場合によって収集方針と別に行われます。このような寄贈は、美術館の予算の限定性を克服できるようにしてくれます。美術館は、寄贈された大切な作品を調査研究し、美術史的意味を見つけて再解釈し、大衆に紹介することで所蔵品の価値を高め、美術史の確立に力を入れています。
国立現代美術館の寄贈作品は現在(2018.4.)、所蔵品合計8,140点のうち3,765点で、全所蔵品の46%に相当します。このうち2010年以降の受贈作品は810余点で、22%を占めています。美術館はここ数年《所蔵品特別展》や《寄贈作家特別展》など所蔵品研究により、20世紀以降の韓国近現代美術の展開の様相を多様な主題の下で振り返り、大量寄贈された作家たちの作品世界を地道に検証してきました。本展は、最近寄贈を受けた作品の中で未公開作品を含め70余点の作品を一般に公開し、個々の作品の理解と鑑賞に焦点を合わせて、報告展形式で紹介しようとしています。
本展は、大きく二つのセクションに分けて構成されています。まず、韓国画、絵画、ドローイング、版画部門では、人と自然、都市の風景などを素材として扱った作品が展示されます。芸術家の視点で再解釈して表現した作品で、当時の社会像を垣間見ることができる作品40余点を披露します。また、寄贈の割合が高い写真部門では、韓国近現代史を共にしてきた20名の写真家の作品30余点を紹介します。日常の一断面を記録したドキュメンタリー写真から、同時代社会と文化現象を批評的な視点で表現した写真、特定の状況を演出または再編集して芸術的な言語で作り上げた写真に至るまで、多様な形式の実験作品を展示します。
最近の韓国近代写真のうち、大邱を代表する写真作家、崔季福(チェ・ケボク)が1930年代に制作した写真原本とフィルムが、遺族から国立現代美術館に大量に寄贈されました。その一部の写真をデジタルプリントで出力して本展で選別公開し、今後はすべての受贈作品を対象に関連資料とともに崔季福の写真芸術について集中的に考察する予定です。
美術館所蔵品のほぼ半数は、受贈作品からなります。自身の芸術世界を追求して人生を捧げた大切な作品を快く寄贈してくださった作家及び寄贈者の方々に本展を通じて改めて感謝の気持ちを伝え、寄贈者の大切な意思を多くの美術愛好家に広く知らしめ、今後も寄贈文化がさらに活性化することを期待しています。