20世紀の概念美術の先駆者マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp, 1887~1968)は、フランスやアメリカをはじめとする国際美術舞台で活動していたアーティストで、現在も現代美術の神話のように存在している作家です。デュシャンは、美術の創造と解釈に対する私たちの考えを根本的に変えました。デュシャンの没後50年となる年を迎え開催される本展は、作家の人生と作品世界を紹介するアジア太平洋地域における過去最大規模の展示です。フィラデルフィア美術館所蔵品を中心に、デュシャンの主要作品及びアーカイブはもちろん、マン・レイ、フレデリック・キースラーをはじめ、当代作家の関連作品、デュシャンを素材にした写真、ドローイング作品約150点で構成されています。特に、代表作が網羅されており、<泉>など「レディメイド」作品を披露し、デュシャン最後の作品として知られている<エタン・ドネ>がデジタルで再現される予定です。現代美術の先駆者とされるデュシャンを今日の同時代的脈絡で眺めて、これまでの現代美術について深く理解する場となることを期待します。