徳寿宮-ソウル屋外プロジェクト:記憶された未来
国立現代美術館と徳寿宮管理所が共同主催する《徳寿宮-ソウル屋外プロジェクト:記憶された未来》は、高宗皇帝の死と三・一運動の100周年を迎え、近代の胎動を知らせた大韓帝国時期の未来都市に向けた夢を現代の建築家の視点で再解釈した展示です。開港と近代化の激変期を共有していたアジアで活動する建築家に作品を依頼し、徳寿宮及びソウル館屋外空間の歴史的背景と独特の空間の特性をもとにインスタレーション作品を試み、韓国の近代遺産の意味を振り返るために企画されました。
旧本新参を原則とした光武改革(1897~1904)は、歴史を根本として新しい文物を受容しようとしていた皇室の意志を示しています。この頃、徳寿宮を再建することで東西の建築が一つに交わり、街路を再整備して独立門とパゴダ公園を建設するなど、都市構造を近代的に再編しました。論争の余地はありますが、このような改革の中心で、高宗は新しい時代のための都市設計者としての役割を果たしていたのではないかと想像してみたくなります。<記憶された未来>は、日本の侵略で十分に花を咲かすことのできなかった高宗皇帝の努力を称え、現代的建築の言語で過去と未来をつなぐ作品を紹介します。
建築は、未来を物理的に現在へ連れて来る技術であり、芸術でもあります。建築家は、遠い未来を想像して空間を設計し、実現します。その空間を使う人々は、その未来を経験することになり、垢染みた建築の形態は、やがて歴史の痕跡となります。建築は、権威の象徴でもあります。主権者の価値体系に基づいて、空間の位階と装飾が決まります。中央集権から民衆への権力移動は、私たちが認識する空間の姿を劇的に変えました。100年前の通りを占有することで、上向的な民主主義の始まりを知らせた行進は、高宗皇帝の死とともに徳寿宮で火が灯され、世宗路を経て、国立現代美術館ソウルの庭がある所まで達したことでしょう。
スペース・ポピュラー、CL3、ビューロー・スペクタキュラー、OBBA、オブラ・アーキテクツの五つの建築家チームは、それぞれ与えられた空間に対する独特の建築的実験を行います。これらの作品は、歴史的空間が盛り込まれている時間をそれぞれの方法で扱い、その権力を試験台に載せます。高低、透明感、閉塞の間を行き来し、韓国の近代文化遺産に息吹を吹き込みます。本展を通じて、観者は現代建築家の柔軟な建築術が生きている文化遺産と出会ったときに起きる様々な感覚を経験することになるはずです。また、長い歴史の現場の中で、作品が描き出す新しい風景に遭遇し、その特別な時空間を共に過ごせるように期待します。