《現代絵画の冒険:おらおらでひとりいぐも》
ドラスティックな変化と実験の情熱が沸き上がっていた激動の20世紀を経ながら鍛錬された「現代美術」は、人工知能(AI)が「絵画」の領域に挑戦する21世紀でも、依然としてその存在感を示しています。現代美術のジャンル間の境界線が崩れ、各ジャンルの長所を取り上げて自由自在に混ぜ返す混種芸術、高解像度の映像メディア、大規模な資本と効率性が最大化された工場型制作システムが誕生させた巨大で華やかなインスタレーション、音響と照明、映像と振付師が結合された大型パフォーマンスなど、「現代美術」の外形は絶えず変化し、「難解だが、どこかもっともらしいホットなアイテム」として人々の注目を浴びています。
本展は、急変する世界の中で「現代美術」の概念が無限に拡張されているこの時代に、最も保守的であり伝統的な媒体である「絵画」、すなわちキャンバスや紙などの平面支持体上に油絵、アクリル、水彩など多様な絵の具を利用して、作家のアイデアやコンセプトを具現(描写)する行為にまだ意味があるのかという質問から始まりました。
絵画の「危機論」あるいは「終末論」は、現代美術の歴史に絶えず登場していたイシューでした。最初に絵画の存在が深刻な危機に直面したのは、「カメラ」が登場した19世紀後半でした。世界のイメージを再現する画家の手よりも、はるかに正確に世界を捕捉する「カメラ」は、怪物のようなものでした。しかし、鋭敏な芸術家たちは、写真が捕捉できない「超現実」、「抽象」、「概念」という未知の世界へ領域を広げ、堂々と現代美術の主流として20世紀美術史を導きました。
1990年代末から2000年代初めまで、韓国の美術界でも「絵画」の限界論が広まりました。当時の韓国美術界は、実験的な代替空間の出現とともに、映像メディア、インスタレーションの風が吹き荒れました。このような状況は、2000年代半ばの類を見ない韓国美術の好況期にハイパーリアリスティックで装飾的な絵画が注目され、再び劇的な反転を迎えることになります。その後、短かった好況が過ぎ去った後に到来した長い不況のトンネルが現在まで続いています。
本展は、熾烈な美術界において、絶え間ない努力で自分だけの「絵画」世界を構築し、また別の変化と成長の潜在的可能性を持つ30~40代の絵画作家の作品世界を眺望します。彼らは、自らが直面している日常と現実に対する深い事由と体験をもとに、人間と世界を眺める自分だけの視点をそれぞれの方法で表現します。展示に参加した17名の作家は、美術館企画展示室内外の空間やロビー、開放的な収蔵庫のガラスの壁など多様な空間で独創的な作品世界を披露します。
当代の芸術家が全身で体験し、熾烈に表現した「世界の風景」は、絶えず変化し、拡張されるはずです。芸術家は、世界の基準と評価に揺れることなく、自分だけの方向を設定したまま黙々と進みます。「おらおらでひとりいぐも」は、ただひたすらに単独者として世界と向き合う芸術家の運命を象徴します。 自らが追求している芸術は、誰も到逹していない未知の領域でなければなりません。家族も友達もその誰とも一緒に進むことのできない、寂しく静かで狭い茨の道です。しかし、芸術家はその道をためらうことなく選択します。だからこそ、芸術は偉大なのです。
