<不確定性の原理>は、ハイゼンベルグの量子力学の理論「不確定性原理」が実験で証明しているように、事物の実体を正確に観測するのは不可能であるということを前提とした展示です。公的な歴史の記録はもちろん、個人の記憶さえも事実性の有無を確認できない不確実性の時代に、芸術が絶えず探求している事実性または真実に対する研究過程とその中で導出される現在進行形の問いかけは、しばしば新しい作品の形態を作り出しています。
国立現代美術館は、資料収集や研究に基づいて作品活動を行っている現代美術作家たちの中でも特にポストコロニアリズムや東南アジアの情勢、政治と宗教が複雑に絡み合ったレバノン戦争以降の中東、資本主義体制の出発点として記録されたイメージの分析、VR装置が提供する新たな視空間構成によって現れる集団または個人の記憶などを媒介に作品を具現する4人の現代美術作家に注目しました。
作品形成の背景となる公的真実や個人の記憶などを再構成し、芸術作品の価値と意味について問いかけ、現実と虚構の世界の不確実な境界を行き来する4人の作家は、現在、世界的に最も注目されている現代美術作家であり、同時代の美術が志向する特定の流れを主導しています。