韓国の実験アートを代表する存在として先駆的役割を果たしたイ・スンテク(1932〜)の回顧展である。既存のアートの概念と制度に疑問を提起する無限の実験精神で、造形、オブジェ、絵画、写真、ランド・アート、パフォーマンスアートなど多様なジャンルを行き来したイ・スンテクの60年以上にわたる活動を振り返る。 <コドゥレ石(竪機を使用する際に糸にくくりつけて重りとして使用した石)>をはじめとする「結ぶ」連作、<風>、<川を流れ下る火のついた画板>など、火、煙、霧、風、音などの自然現象を作品に盛り込んだ「形のない彫刻」の連作、<地球行為>、<砂の上に波を描く>のように、特定の空間に介入したパフォーマンスアートの連作など、作家の作品世界と美術史の意味を紐解いていく。作家の初期のドローイング、アーカイブデータおよび未公開の作品を発掘し、再制作、復元などを通じて作家の業績を再評価する。