国立現代美術館

保存科学

保存科学は、美術作品の保存処理を通じてさらなる損傷を防ぎ、作品の寿命を延ばす活動です。このような活動は、美術史的知識とともに、科学的処理と検証のために、材料分析などの化学的知識に基づいて行われます。
特に、現代美術の保存は伝統的な概念では接近しにくい側面があり、美術品を保存・復元する目的と意味にも変化が求められています。

ジャン・デュビュッフェ(Jean Dubuffet) 「家を守る犬」（1969-1970年作）

合成樹脂の上に塗料が塗装された「家を守る犬」は、1970年に制作された作品で、ホコリやシミによってひどく汚れ、塗料層の亀裂や剥落などの問題が発生した。作品は形態的には安定していたが、表面の汚れのために作品
本来の色が表現されないため、クリーニング中心の保存処理を行った。クリーニングの材料と方法を決めるためにテストを行い、作品に適した材料を選定し、全面をクリーニングした後に、部分的に弱くなった塗料層を補強して、
塗料層を安定させた。